「Web広告を出せば、すぐにお客様が集まると思っていた」 「クリック数はあるのに、なぜか問い合わせにつながらない」
私たちがWebマーケティングの相談を受ける際、最も多く寄せられるのがこうした悩みです。
広告費をかけてGoogleやSNSに広告を出稿し、自慢の商品やサービスをアピールする。アクセス解析を見ると、確かに人は来ている。それなのに、最終的な成果(コンバージョン)に至らない。まるで、穴の開いたバケツに水を注ぎ続けているような状態です。
この原因の多くは、広告の文言と、飛び先であるランディングページ(LP)の「ミスマッチ」、そして何より「業種ごとの定石」を外している点にあります。
LPは、単なる「長いチラシ」ではありません。訪れたユーザーの心理状態に合わせて、疑問を解消し、不安を取り除き、行動へと背中を押すための、緻密に計算された「接客空間」です。
そして、その接客スタイルは、売るものによってガラリと変えなければなりません。BtoBの商材を売るのと、化粧品を売るのとでは、お客様が求めている情報も、決断に至るまでのプロセスも全く異なるからです。
今回は、多くの企業が見落としがちな「業種ごとの正しいLPのあり方」について、BtoB、Eコマース、美容・健康、教育といった主要な分野を例に挙げながら、プロフェッショナルな視点で徹底的に解説します。
広告とLPをつなぐ「期待値のコントロール」
各論に入る前に、すべての業種に共通する大原則をお話しします。それは、広告とLPの一体設計です。
ユーザーが広告をクリックするのは、その広告に書かれたコピーや画像に何らかの「期待」を抱いたからです。「業務効率化ができるかもしれない」「肌が綺麗になるかもしれない」「安く買えるかもしれない」。この期待を胸にLPを訪れます。
しかし、LPを開いた瞬間に、その期待と異なる印象を受けたり、知りたかった情報がすぐに見つからなかったりすると、ユーザーは「騙された」「面倒くさい」と感じて、わずか数秒でブラウザを閉じてしまいます。これを直帰と言います。
クリック率が高いのに成約率が低い場合、広告で煽りすぎているか、LPが広告の受け皿として機能していない可能性が高いです。
広告で投げかけた問いかけに対して、LPのファーストビュー(最初に表示される画面)で明確な答えを提示すること。そして、広告のデザインやトーン&マナーをLPでも踏襲し、違和感のない接続を作ること。これがスタートラインです。
ここから、具体的な業種ごとの戦略について見ていきます。
BtoB(法人向け)分野:感情よりも「論理」と「信頼」を売る
企業対企業の取引において、LPに求められるのは何でしょうか。それは「失敗しないための証拠」です。
BtoBの商材、たとえばSaaS(ソフトウェア)やコンサルティングサービス、業務用機器などは、個人の買い物とは決定的に違う点があります。それは、購入の意思決定者が一人ではない場合が多いということです。
担当者が「これ良いな」と思っても、上司の承認を得たり、稟議を通したりする必要があります。つまり、BtoBのLPは、担当者が社内で説明するための「説得材料」が揃っている必要があります。
ここで感情に訴えるようなポエム的なコピーや、根拠のない「No.1」という文言は逆効果です。求められているのは、冷徹なまでの「論理」と「データ」です。
導入事例は「数」よりも「質」と「具体性」
BtoBのLPにおいて最も強力なコンテンツは導入事例です。しかし、単に有名企業のロゴを並べるだけでは不十分です。「自社と似たような課題を持っていた企業が、どう解決したか」というストーリーが必要です。
「〇〇業界での導入実績」「従業員100名規模での活用事例」といったように、閲覧者が自分事として捉えられる事例を配置します。Before/Afterを数値(コスト削減率や売上向上率など)で示すことは基本中の基本です。
信頼性を担保する情報設計
また、機能一覧やスペック表も重要ですが、それ以上に「誰が作っているか」「サポート体制はどうなっているか」という信頼情報が重視されます。セキュリティへの取り組み(ISO認証やプライバシーマークなど)、開発体制、導入後のカスタマーサクセスの有無などを明記し、「この会社なら長く付き合える」と思わせる情報設計が必要です。
コンバージョンポイント(ゴール)も、いきなり「購入」ではなく、「資料請求」や「ホワイトペーパーのダウンロード」、「無料デモ体験」といった、ハードルの低いマイクロコンバージョンを設定するのが鉄則です。まずはリード(見込み顧客情報)を獲得し、そこから営業担当者がアプローチするという流れを想定したLP作りが求められます。
Eコマース(物販)分野:数秒で心を掴む「シズル感」と「安心感」
次に、Eコマース(ネット通販)の場合です。ここでは、BtoBとは対照的に、直感的な「欲求」と、購入の「ハードル除去」が勝負を分けます。
アパレル、雑貨、食品などの物販において、ユーザーは長い文章を読みたがりません。商品の魅力が一目で伝わる高品質な画像や動画がすべてと言っても過言ではありません。
画像は「説明」ではなく「体験」を伝える
商品の全体像を見せるのは当たり前ですが、それだけでは不十分です。
食品であれば、湯気が立っている様子や、断面の瑞々しさ(シズル感)。アパレルであれば、モデルが着用して動いている動画や、生地の質感がわかる拡大写真。家具であれば、実際の部屋に置いた時のサイズ感がわかる生活シーンの画像。
これらを駆使して、ユーザーの脳内で「それを使っている自分」をリアルにイメージさせることが重要です。スマホでの閲覧がメインとなるため、小さな画面でも商品のディテールが伝わるよう、画像のクオリティと表示速度のバランスを極限までチューニングする技術も必要になります。
迷わせないためのUI(ユーザーインターフェース)
ECのLPで最も避けたいのは、「買いたいのに買い方がわからない」という状況です。
カートボタンは常に押しやすい位置にあるか(追従型ボタンなど)。送料はいくらかかるのか。いつ届くのか。返品は可能なのか。
こうした購入直前の不安要素(フリクション)を、ユーザーが探す前に提示する必要があります。「在庫わずか」「本日中の注文で明日お届け」といった情報は、購入を後押しする強力なトリガーとなります。
また、Amazon PayやPayPayなどのID決済を導入し、住所入力の手間を省くことも、カゴ落ち(カートに入れたのに買わずに離脱すること)を防ぐための重要な施策です。
美容・健康分野:コンプレックスに寄り添い、法規制をクリアする高度な設計
化粧品、健康食品、エステサロンなどの美容・健康分野は、Webマーケティングにおいて最も難易度が高く、かつ当たれば大きい分野です。
ユーザーが抱えているのは、肌荒れ、肥満、薄毛といった深い「コンプレックス」や「悩み」です。LPの役割は、その悩みに深く共感し、「ここなら変われるかもしれない」という希望を提示することです。
感情を動かす「共感」のストーリー
まずは、ファーストビューで「こんな悩みありませんか?」と問いかけ、ユーザーに「これは私のことだ」と思わせる必要があります。
そして、なぜその悩みが解決しなかったのかという原因を提示し、それに対する解決策として自社の商品を提案する。この一連の流れ(ストーリー)が、ユーザーの感情を揺さぶります。
利用者の声やビフォーアフター写真(法規制の範囲内で)は、非常に強力なコンテンツです。自分と同じような悩みを持っていた人が、どう変わったのか。そのリアルな体験談は、どんな宣伝文句よりも響きます。
薬機法・景品表示法との戦い
この分野で避けて通れないのが、薬機法(旧薬事法)や景品表示法といった法律の壁です。
「絶対に治る」「最高の効果」といった表現は使えません。しかし、法を守りすぎて魅力のないLPになってしまっては本末転倒です。
私たちプロフェッショナルは、法律を遵守しながらも、ユーザーの心に響くギリギリの表現を模索します。「個人の感想です」という注釈を入れるだけでなく、医師や専門家の監修コメントを入れたり、成分の科学的な根拠を丁寧に説明したりすることで、信頼性と訴求力を両立させます。
「感情」で攻めつつ、「理屈」で安心させる。このバランス感覚が、美容・健康分野のLP制作には求められます。
教育・スクール系分野:未来への「投資」を正当化させる
英会話スクール、プログラミング教室、資格講座、学習塾。こうした教育系のサービスは、「形のないもの」に高額な費用と時間を払ってもらうという特性があります。
ユーザーが買おうとしているのは、授業そのものではなく、「受講した後の自分(変化した未来)」です。
カリキュラムの透明性と到達目標
教育系のLPでは、「何を学ぶか」だけでなく、「それを学ぶとどうなれるか」を具体的にイメージさせることが重要です。
「3ヶ月で日常会話が話せるようになる」「未経験からエンジニアとして転職できる」といった明確なゴールを示し、そこに至るまでのロードマップ(カリキュラム)を詳細に公開します。
授業の様子がわかる動画や、テキストのサンプルを見せることで、「自分にもついていけそうだ」という安心感を与えます。講師のプロフィールも重要です。単なる経歴だけでなく、教育に対する情熱や人柄が伝わるメッセージを掲載することで、信頼を獲得します。
卒業生の実績が最大の資産
BtoBの導入事例と同様に、教育系では「卒業生の成果」が強力な武器になります。
「TOEICが〇〇点アップした」「希望の大学に合格した」「年収が〇〇万円上がった」。こうした具体的な成果とともに、卒業生のインタビューを掲載します。
特に、スタート時のレベルが低い状態から成功した事例を見せることで、「私にもできるかもしれない」という自己効力感を高めることができます。
コンバージョンポイントとしては、「無料体験レッスン」や「無料カウンセリング」「資料請求」などが一般的です。いきなり入会を迫るのではなく、まずは接点を持つことを重視し、そこから信頼関係を構築していくステップを踏みます。
事業のフェーズに合わせたLPの最適化
ここまで業種ごとの特徴を見てきましたが、さらに企業の成長フェーズによってもLPの役割は変わります。
立ち上げ直後のサービスであれば、まずは知名度を上げるために、尖ったメッセージで特定の層(アーリーアダプター)に刺さるような構成にします。一方で、すでに知名度があるサービスであれば、安心感や実績を前面に出し、より幅広い層を取り込むような構成に変えていきます。
LPは一度作って終わりではありません。
ヒートマップツールを使ってユーザーがどこで読むのをやめたか(離脱箇所)を分析したり、A/Bテストを行ってキャッチコピーやボタンの色を比較したりと、運用しながら育てていくものです。
業種の定石を踏まえつつ、実際のユーザーの反応を見ながら微調整を繰り返す。この泥臭い改善作業こそが、最終的な成約率(CVR)を劇的に改善させる唯一の道です。
プロフェッショナルと共に「売れる仕組み」を作る
ホームページ(ウェブサイト)やLPは、24時間365日働き続ける、あなたの会社の最強の営業マンです。
しかし、その営業マンに間違ったセールストークをさせていたり、場違いな服装をさせていたりしては、成果が出ないのも無理はありません。
BtoBにはBtoBの、ECにはECの、それぞれの「勝ちパターン」があります。
もし現在、自社のLPの反応が悪いと感じているのであれば、それはデザインのせいだけではないかもしれません。業種に求められる情報設計ができているか、広告からの文脈がつながっているか、もう一度見直してみてください。
「何から手をつけていいかわからない」「自社の業界に合った正解が知りたい」という場合は、ぜひ私たちのような専門家にご相談ください。
私たちは、単に綺麗なページを作るだけではありません。御社の事業を深く理解し、競合を分析し、ターゲットの心理を読み解き、「売れるためのロジック」を詰め込んだLPを設計します。
正しい戦略と、適切な情報設計。この2つが揃った時、LPは驚くほどの成果を生み出します。Webマーケティングの力で、御社の事業を次のステージへと押し上げるお手伝いをさせてください。
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